2007年、私はハワイ島にいました。
夜眠るのも惜しいくらいなCity girlだった私が、まさかハワイに辿り着くとは、その頃想像もしていませんでした。どんなに周りの人にハワイが良いと勧められても、海辺でピニャコラーダを飲んでいる様な所に行ったら、脳みそがトロけてしまうと思っていたのです。
私は東京か、パリかニューヨーク、もしくはロンドンなんかでコーヒーを飲みながら、友達とおしゃべりし、愚痴はあれど仕事をこなし、頭からつま先までスタイリッシュに決めて、颯爽と道を行くまさにSATCのキャリーなる事しか考えていませんでした。
そんな頃、多くの人が経験する様に、人生を変える出来事が起こります。今まで信じていた事や向かっていた方向がひっくり返る様な時、私にハワイ島行きのチケットがやってきました。私が今も昔も尊敬する、メンターで姉の様な女性が、NYCからハワイ島に引っ越すというのをきっかけに、ハワイに島がいくつあるのかも知らないまま、Big Island / ハワイ島に降り立ったのです。
ハワイといえばオアフ島で、私がイメージしていたのもカフェやショップが並ぶ街でしたが、降り立ったのは草も生えてない溶岩の上。その時滞在したHapuna beachへと、北へ向かう車をどんなに走らせてもお店も何も見えてきません。休みの日には、夜遊びやカフェ、ショッピングに行くという感覚が抜けきれない私は、本当に何をしていいのかさっぱりわかりませんでした。これからどうやってキャリアを積んで"成功”していこうかと考えている時、海辺でぼーっとするのは時間の無駄に感じ、海を見ても、まるで四角いスクリーンの映像を見ている様でした。
そんな時、姉の様な女性に言われた一言は今も忘れずいつも心に留めています。
「これからはキャリアの時代じゃないのよ。もっと心を豊かにする事が大切な時代になるのだから、視野を広げないと。大切なものは外側でなく、それぞれの内側にあるのよ。」
これが私にとっての魔法の言葉となりました。ハワイの景色は彩り豊かに360度広がり、その言葉の意味をより実感させます。
冬になるとアラスカからハワイへと何ヶ月もかけて鯨が出産にやってきます。優雅に現れる鯨のジャンプや尾ひれを見た時、ある女性は小さなボートの上で、水着の上に白いコットンシャンブレーのシャツドレスを着ていました。海の青と鯨のダイナミックさと、彼女の風にはためくシャンブレーは時が止まったように美しかったです。