Stargazer

地球上には13種類の気候が存在するそうです。

 ハワイ島にはそのうちの11種類があると言われています。ないのは砂漠気候とツンドラ気候だけで、熱帯ジャングルのような場所やヨーロッパの牧草地のような涼しく乾燥した場所もあり、さらには雪の積もる場所まであるのです。

 そこはハワイ島の人々が愛するマウナケア。4200Mの高さを誇り、海底から測るとエベレストを超え世界最大の高さを誇る山です。そして山頂には、なだらかな斜面を車で行ける便宜の良さ、大気の条件の良さなどから天体観測に適した場所だという事で、日本のすばる望遠鏡を始め世界中の天文台が設置されています。

 マウナケアはハワイ文化の中でとても神聖な場所で、みんなに愛され守られている山です。日本人が富士山を見ると、いつでも「ああ富士山がみえた!」と感動するように、コナのハイウェイを走っている時にマウナケア山頂の天文台群とか雪が覆っているのが見えると、なぜかとても嬉しい気持ちになるのです。

山頂までは車で行けるのですが、中腹ににあるオニヅカビジターセンターより先は4wdでないと進めない道になっています。これはハワイアンにとってマウナケアが神聖な場所であるという事と、環境を守るためにアクセス数を制限する目的で道を舗装しない事にしているそうです。

 

 私はそのオニヅカビジターセンターによく行きます。カイルアコナから車で1時間ほどで着きますが、灯りのない細い山道を車で行くので慣れるまで少し不安になります。けれど気持ちをリフレッシュしたい時や特別な時に一人でも思い立ってよく訪れる場所なのです。

なぜならば、ビジターセンターに到着して車を降りると、懐かしいツンとした冷たい空気と、東から西まで180度広がる星空に出会えるからです。

 

 サンセットの頃出発し1時間ほど運転するのですが、信号も渋滞もない道をひたすら運転なのでそれはそれで結構疲れます。特別大きくサインが書いてあるわけではないので、サドルロードという高速道路を運転しながら案内を見逃さないように左折してマウナケアへ続く道へ入ると、周りは今までとは違った高山植物が増え、通る車も少ないので怪しい雰囲気に不安とワクワクの入り交ざった感覚になってきて、何度行ってもこんなにこの道は長かったっけ?と思うほど運転すると、やっとセンターに到着です。

 ハワイ旅行に冬服はいらないと思っている方、ここでは厚手のジャケットと靴下が必要です。1時間前までビーチサンダルとTシャツで30度の真夏を味わったそのあと、この山で10度に近い冬が待っています。どんなに夏が好きでもこの久しぶりの冷たい空気にとても嬉しい気持ちになるのが不思議です。そしてビジターセンターで暖かいココアとか、カップヌードルをいただくとため息が出るほど幸せになります。(ビジターセンターにはお湯のポットとレンジが設置されています。)

 

 そして空には大きなネイビーの画用紙に白いペンキを撒いたような星空。

 

 新月に訪れると、端から端まで星が広がったのを覚えています。SF映画や星の王子様のお話や、宇宙旅行やエイリアンの事まで子供の頃想像していた感覚が蘇り、キラキラ瞬く星はまるで生きているみたいで、ただ座って何時間でも見ていられそうです。

 ビジターセンターのスタッフの方々が大きな天体望遠鏡を何台か設置して、惑星の事や星座の事など色々と説明してくれます。

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「あの赤い星は火星だけど、望遠鏡で見ても大して面白くないからやっぱり土星がいいね。」

と望遠鏡を調整してくれました。

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 初めて土星を見た時の感覚と言ったら!

肉眼では丸い星の一つに見えるあれに、実は輪っかが付いていたなんて!

そして、宇宙なんて別世界のお話だと思っていたけれど、毎晩毎晩、見上げていたのは宇宙だったんだなと感激しました。

 日が沈むと空気が冷え雲の高さが下がってくるのでビジターセンターは雲より上の高さに位置し、必ずと言っていいほど星空が見えます。そして帰り際には雲を見下ろすように山道を下りていきます。その光景も水墨画のようでとても美しいのです。

 星を見るには月が明るいと妨げになるので、新月に近い時に訪れた方がいいのですが、月の出ている時、山道を下るごとに見える星の数が減っていき、最後にはどこまでもついてくる明るい月だけを見ながらゆっくり現実に戻りベッドに入るのも至福の時です。

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ビッグアイランド/ハワイ島は日本列島に比べれば小さな島ですが、心が広くなるような場所がたくさんあります。

マウナケアでの天体観測では夢のような光景が現実に待っていてとてもオススメです。暖かいジャケットと、パンツとソックスをお忘れなく...